イギリスに生まれ、後にカナダに移住してバンクーバーで少年金管バンドを組織、その指揮者として、またコルネット奏者として活躍し、カナダにおけるバンド活動を牽引したアーサー・デラモントArthur Delamont (1892-1982)を讃えて、ウェスト・バンクーバー・ユース・バンドの委嘱で作曲されたバックリーの作品《アーサー・デラモントへのトリビュートA Tribute to Arthur Delamont》の第2楽章。バックリー自身も、12歳の時にデラモントのバンドに参加し、そのヨーロッパ・ツアーにも参加している。 救世軍のバンド出身のデラモントは、自分のバンドでも盛んに賛美歌をプログラムに加え、自身もそれらの曲でソロを演奏したということだが、その様子を再現するように、この曲もトランペット(またはフリューゲルホルン)のソロを伴うコラール風の作品に仕上げられている。ふたつのテーマが交互に3回ずつ繰り返され、最後は第1のテーマが締めくくる、というきわめてシンプルな構成だが、少しずつ音の跳躍の幅を拡げて上昇するテーマが非常に印象的で、音色の使い分けや転調の効果によって音楽的な表情も少しずつ変化し、単調に陥ることはない。トランペットまたはフリューゲルホルンのソロは、冒頭とコーダを含む3箇所のみなので、ソロとバンドのための協奏的作品とは言えないものの、ソロの力量が演奏の成否を決定するのは確かだ。ソロの部分は金管バンドの響きがイメージされ、伴奏も金管のみで演奏されるようになっている。 コンサートの雰囲気のターニング・ポイントとなる曲として、特に大人のバンドにおすすめ。編成は標準的なものだが、ほぼ五声体で書かれているので、バランスに配慮すればかなりの少人数でも演奏できる。(解説: 後藤洋)
2015年HAL新譜Grade 3Time 4:00
【商品詳細】
商品番号
GYW00117682
作曲者
BUCKLEY, Robert
原題
Memento: 2nd Mvt. of "A Tribute to Arthur Delamont": Score & Parts